先日、UX KANSAI代表の徳見が株式会社Gaji-LaboのCXO山岸ひとみさんにお声かけしてくださって、ファシリテーション勉強会を開催して頂きました。
UX KANSAIメンバーはほぼ全員参加集合!
ワークショップ(以下WS)やファシリテーション(以下FA)に関しては、自己流で本を読んで実践してみたり、発想ワークショップに参加してみたり、HumanFAQというFA・WS実践者によるコミュニティを作ってみたりとかとか、試行錯誤を続けていましたが、体系的・理論的に第一線の方からお話や指導を受けることはほとんど機会がなく、、大変貴重な気づきや学びがあった1日となりました。
気づきと学び
- 自分の得意不得意が浮き彫りになった(私は参加が得意だ。実践はまだまだ、、)
- 実践⇄観察⇄参加を行き来することで、有機的な場を整えていく
- 問いの解像度とは、バイアスを解きながら同じ問いに意識を集中できる時間作り?
- 実践者自身もバイアスを持ってい無いか?フラットな立ち位置で言葉をなげかけているか?
- WS設計は、一度はプロト体験してみるべし
- ダイナミックで、予測できない「場のデザイン」の面白さにさらに興味が加速!
気づきポイントの中からいくつかを書いてみます。
自分の得意不得意が浮き彫りになった
このWS勉強会の構成が、実践⇄観察⇄参加をくまなく体験できる設計になっていたこと、他の人の態度や発言から、「この人これ得意だなーうまいなー」と比較を通して評価ができたことの2点によって
自分が思っていた得意不得意が、案外違っていたことがわかった。
勉強会が始まる最初に、自分の得意不得意を聞かれて、得意=観察、不得意=参加としていたけれど
勉強会が終わる頃には、得意=参加、不得意=実践、と自分の認識が変わっていた!
これも設計の意図なんだろうなぁさすがだなぁ、、(=WSを通してどうなってほしいか?を明確に意図されていたのだろうなと推測。)と思ってしまう。参加する前、後では自分の意識ががらりと変わってしまっていたのだから。
他者視点から、自分では気づかなかった切り口に気づいた
特に新鮮だったのは「他者視点」を強制的に見たり感じたり、演じてみたりしたことで
自分と他者は違うのだ!(ものすごーく当たり前のことなんですが、、)ことを実感しました。
立場、性別、年齢が違えば、それぞれにメリットデメリットが違ってくる。ある人の正義は、ある人の悪みたいな。。そしてこれが、強制的に演じてみることでも結構想像できちゃうし共感できた自分がいたこと。
参加型デザインや市民の方を交えた多様な立場・価値観をお持ちの方々とのWSとなると、言葉の捉えられ方・共感できる善と悪が違う前提で、自分の主張を通そうとしたくなることって想定される。
でも相手の立場になったり、お互いの利益になる方法を考えましょうってスタンスにそろえるには
まず相手への共感と尊重。それが「しくみ」づくりで、自然とできたことが面白かった
(実際の現場はもっと想定外なことがたくさんなのだろうと想像してます!)
「相手の立場になって考え行動しましょう」なんて、小学校のころから教わるけど。
結構苦手なんです「相手の立場」になること。
でも強制的に「共感モード」を作ると入り込めるんだなぁと発見。
そして、WSの設計だけでなく、日頃のスイッチの切り替えにも使ってみよう!とも思えました。
加えて、実践だけではなくって、自分がWSに参加体験してみることもWS実践者には貴重な学びの場であることを改めて実感しました。
あとは「観察者です」と役割を切り替えた時点で、全体の流れや活発さ、人と人との有機的な関係性を汲み取ってーといった思考の切り替えや、全体像を把握しようモードに入ることがわかりやすかった。最初は意識して、スイッチを切り替えるように行き来すると、自然とスイッチが滑らかに切り替わるようになるんだろうな。
問いの解像度とは、バイアスを解きながら同じ問いに意識を集中できる時間作り?
これを感じたのは、「課題解決WS」を体験していたとき。
課題整理のときに、課題がA,Bの2つのカテゴリに対して多いことがわかりました。より共感する人が多かったAの課題に的を絞って解決策をさぐっていくことになったのですが、そもそもその課題の原因ってなんだっけ?を問いかけとしてなげたら、Bが原因なこともあるよね。と。
そして、Aの課題の原因を他にもさぐっていくと それがそもそも原因なのではなく、思い込みの側面も大いに含んでいるのかも?といった流れになり。
Aに含まれていた「あたりまえのことだと思っているバイアス」を見つけて、本当にそうだっけ?を掘り返す。さらにそれらを繰り返すことで、バイアスをほぐしていく。
そうやってAを深堀していくと、Cといった根本の原因や課題がみつかってきた!
といった全体の流れがありました。
このときに個人的に私は「バイアスとは?」を結構意識していました。
それは、このWSの途中で「それはあたりまえといった暗黙のルールを作ったのはなぜですか?」といった問いかけがWSの中であったから。。これがかなり強烈でした。
そうか!今自分が当たり前としていることは、勝手にそのまま「暗黙の当たり前の空気」引き受けているのは自分たちなのか!!と。
その気づきがあったからこそ、自分ごと化された「暗黙のルールを作ったのはなぜか?」といった言葉をずっと味わいながら時間をすごしていたからです。
自分ごと化されるインパクト
WSって事件のようです。WS現場で発生する一回性、不再現性のやりとりがダイナミックで面白い。。
だからこそ印象的にその場を体験し、場を共有している事柄はかなり自分ごと化されて身体に沁みてきました。。
場の空気次第、だれかの発言次第で、その後の時間の過ごし方が一変してしまうのだ。ということを自分で体験し、感動しました。
WS設計は、一度はプロト体験してみるべし
今回、アイディア発想WSの設計をしました。アイディア発想って結構体験したことがあるし、いろんなことを思い返しながら設計したのですが、、やってみて気づいたこと盛りだくさん。。
なんのための作業?
アイディア発想って、「なんのためにこんなキテレツな方法でかんがえるの!?」って感じてしまうことが多々あるのでは(特に嫌々参加してる社員さんとか)
そんなときには、やることの意図・根拠をロジカルに説明できたり・今はなんの時間なのかと明示したり、どこに向かっているのか・今どの時点なのかを共有することで安心感を持って参加してもらえることははっきりとわかりました。
アイディアはだれの為に?
発想するとき、あーこれポイントだなーと感じたのは「人への共感」
「めちゃくちゃ新しくて、最高なカレー体験」といったお題に対して、「誰に?」「どんな人にとっての最高!?」となって考えにくい。。人を中心におかないと、ふんわりしたテーマになってしまう。
これはデザインを考えるときには、いつも「ターゲットは?」「どこでなにをどうやって?」「その人にどうなってほしいの?」などなどヒアリングをしながら、デザインの方向性を考えていくのですが、これらが無かったらものすごく方向付けが難しい。。。 にも関わらず、WS設計となった瞬間とんでしまっていた。。誰のためか?は最低限狭めて、進めるようなフローにすべきだったなぁと思いました。
アイディアの収束・決定・コンセプト化までをかなり雑にやってしまった
アイディアの発散フェーズはいろーんなフレームワークを用意して、とにかく発想してもらいやすいようにと工夫をしてみた。でもそのせいで時間がなくって、アイディアを作り上げるところ・決定し磨き上げる・そしてコンセプト化するまでは、収束方法・決定フロー・評価軸・が明確でないことによって認知バイアスがかなりかかってしまった。。のでワークに集中するというよりも手法にどぎまぎしてしまってて「これでいいのかなーあってるのかなー」といった気持ちになってしまった。
さいごに
山岸さんの座学もとても面白く、自分の整理がついて勉強になりましたがやっぱり一番の面白みは体験できたこと。
そして、有機的で予想不可能、一回性・不再現性の高いものに惹かれるのはなぜなのだろうと考えた時、Wired 元編集長、若林恵さんが退職される際に投稿した記事を思い出します。
https://wired.jp/2017/12/22/oshirase/
メディアをやってて思うのは、当たり前だけど、あらゆる記事ってユニークなものとしてしかないわけ。同じ記事って二度と出ないの。稀に出たとしてもコンテキストが変わったから出るわけだし。だから、ある記事を分析してそれが読まれた要因を因数分解していっても、じゃあ次の記事をつくるのにそれが役に立つかって言ったらそうでもないんだよね
「何一つ再現されない」っていう前提のなかで動いているものから再現性を取り出そうって、そのこと自体になんの意味もないんだもん。そりゃ探せば何かは出てくるかもしんないよ。でも、それがわかったところで次にやることといえば、「じゃあ、それとは違うことやろうぜ」ってことでしかないから。
何一つ同じものがないものから、何一つ再現されないことが人間らしさであり、ユニークなところ
AIや機械学習などで再現性の高く高生産性のある仕事ぶるとは、違うところで価値を生み出す「何一つ再現されない」ことに価値や面白さを感じている
さらに組み合わせしだい・タイミングしだいで強力にパワーアップしていくことの不思議さ
ちょっとしたことの積み重ねで、プロジェクトが自走しはじめたり・各個人が5年後10年後にマインドセットを変えて変化できるきかっけになる可能性があるのだったら、、
まだまだ深みに入っていきたいなーという思いが強くなりました。
山岸さん、徳見さん、UX KANSAIのメンバーの皆様ありがとうございました!
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