HCDnet主催の「実務者向けインタビュー講座」レポート

HCDnet主催の「実務者向けインタビュー講座」を大阪The Deckで受けてきた

ユーザビリティスペシャリストでUXリサーチャーの奥泉 直子さんが関西にくる数少ない機会ということ。

■何を得ようと思って参加したのか? 

●インタビュー設計の指標が欲しい ●ユーザーインタビューの質を上げるために、人の特性を知る・インタビュアーのマインドを知るため 自身が以前ユーザー調査・インタビューをしたときに、どうしたら質の良い問いや気づきを得ることができるのか、ポイントを見つけることが難しかった。UXリサーチャーでユーザーインタビューのスペシャリストである奥泉さんが関西にて講座を開く貴重な機会だったので迷わず参加しました。




インタビューの秘訣

インタビュの秘訣は3つ

  1. 場作り
  2. 舵取り
  3. 深堀

特に場作りが大切かな

インフォーマットにはリラックスして、口を動かしてもらうことから始めてもらう。たわいもない話から始めて、徐々にラポールを築いていく。(この場作りがヒューマンスキルかなと思う) 歯を見せて笑ってもらうとか、目を合わせて話すとか、そういった小さなことが大切。

ちょっとのうっかりがラポールを崩すきっかけになったりする


インタビューガイドの役割と設計

インタビューの種類は大きく3つある

  1. 構造化インタビュー
  2. 半構造化インタビュー
  3. 非構造化インタビュー

おそらく最も一般的なのは半構造化インタビュー。非構造化インタビューだとヒアリングだと思う。

半構造化インタビューを行うさいには、事前にインタビューガイドを作っておく。

インタビューの「目的」「ゴール」を効率良く進めるために、質問とその順序を話題のまとまりごとに書いたチェックリストのようなもの。


インタビューガイドの役割 

抜け漏れ防止 時間管理のため クライアントやチームメンバーとの共有 時間内に終わらせるために、どの項目でボリュームを厚くしておくか?全部聞けなくてもいいけど一番聞きたいことはどこか?など。一番聞きたいことがインタビューできればいいので、全てをチェックしてしまうことを目的にはしないこと。設問の強弱を確認しておく。 時間管理するためにインタビューガイドではある程度全体の流れをイメージしながら、時間をコントロールする仕組みも取り入れる。この設問では15分、この設問は5分など目安の時間を書いておくと舵取りしやすくて良いとのこと。(インタビューをやるごとに、改良していってもOK) クライアントにインタビューガイドの内容を確認してもらって合意をとったり(この目的・ゴールをクリアするための質問はこれです〜と) 調査チームメンバー内で共有しておけば、もし自分がインタビューできなくても一定の品質を守ったり、インタビューの方向性のブレをなくすことができる。インタビューのための地図になります。  

インタビューガイド設計 

実際にインタビューガイドを設計する際には「調査の目的・ゴール」は何か?を明確にし、ユーザーのコンテキストをイメージしながらシナリオを想定して考えていきます。 

今回のインタビューのお題は「健康に対する意識と日頃の健康対策」 健康対策に関する行動の前・中・後を通してユーザーの感情の動きや意思決定をイメージしながらシナリオを考えます。そのシナリオから出てきた仮説を元に、調査の目的をクリアするためのゴールは何だろうか?とブレストしながら質問項目を決めていきます。 一つの設問で1分ほど使うとして、60分だったら60問ほどのボリュームに。 

インタビューガイドは自然な流れで

 このガイドはとても大切な地図になるので、慎重に作成する。一晩考えて、寝かしてからまた調整するとか、他のメンバーも交えて意見を加えて良くしていきます。 なんども推敲してやっと良いガイドになるそうです。 使う客観的に見て、さらに良い問い方があるかもしれないので、いろんな人の意見を聞いてみることも大切です。 

あとは質問の流れがスムーズになっているか確認するテストインタビューをやっておいたほうが良し。それは質問を前後入れ替えるだけでも、前の質問に影響されてインフォーマットの回答の質も変わってしまうので注意が必要。自然な流れで、イメージが膨らんでいくような(ゆっくりと核心に近づいていく)ことを想定して作ります。


問い方の工夫が、発話の質を上げる 

きっかけ(入り口)になる設問を用意しておく 

今回おもしろいなぁと思った方法は、 「あなたの今の健康状態は健康な状態を10とすると、何でしょう?」 「健康ときいいて真っ先に何が浮かびますか?」といった、イメージを伝えてもらったり、指標を提示してもらったり、質問項目自体にもちょっとした「しかけ」を作っておくことで結果は違ってくるだろうだと感じた。 点数を言ってもらったり、イメージを言葉にしてもらったりするのはきっかけで そこから徐々に核心に近づいていくやり方は、インタビューの流れとしてはとても自然に流れていたのは面白かった。  

単刀直入に聞かない 

単刀直入に「今は健康ですか?不健康ですか?」ときいても、 だいたいの人は「まぁ健康ですよ。そんな困ってない。」程度にしか答えられないし、自分自身の課題がパッと思いつく人はほとんどいない。 それよりは、普段どんな生活をしているかをデモンストレーションしてもらいながら聞いていったり、イメージを広げて、なぜそのような行動をしたのか?イメージを思いついたのか?を掘り起こしていく。 なぜそうしましたか?と聞くのも大切な手法だけれど、「なぜそうしたの?なんで?」と言い過ぎても、問いただして否定されているような印象になってしまう。 そうするとインフォーマットは自分を正当化するもっともらしい答えを答えようとする。こともあるので、問い方のニュアンスも気をつけた方が質の良い発話が生まれやすいと思う。 


インフォーマット側になって気づいたこと

インタビューする側になることはあっても、インタビューされる側(インフォーマット)になる経験はかなり少ないです。 今回の講座では、何回もインタビューをされて「あ、話しやすいな」「あ、自分ってこう思ってたのかな」「うーん、楽しくないな」と感情が動くのを実感しました。 インフォーマットの気持ちってこんなのなのだ。。と貴重な体験でした。 そのなかで、「自分を良く見せたい」とか「無意識にやってて言葉にできない」とか「自分でも理由が思いつかないから、もっともらしい答えを言っちゃった」とか、 そういった体験もしました。 人って無意識に行動して判断してしまってるし、あと付けで自分の行動を肯定するもっともらしい理由を付けてる。。なども、、 自分の意識を言葉として外にだすことが難しいのに、他人のそれはもっと難しい。 だからこそ「人」の特性を知ることで、もっと見えてくる表情や感情の動きがあり そこに核心となる「意識」を引き出すことができるのだと思います。 


 インタビュー中に気づいた注意点 

  • インタビュアーはインフォーマットが専門用語を知っている前提でインタビューを進めてしまったが、専門用語の共通認識がないまま話が進んでいってしまった 
  • インタビュアーがインタビューがガイドを確認しすぎて、インフォーマットが気になる 
  • 最もなことを言いたくなるので、本当のところ自分の本音が真実なのかわからない 
  • インタビュアーが得たかった情報は得られたのか、気になる(これでいいのかな、、と不安になる) 
  • 話している途中で「インタビューのテーマって、結局なんだっけ。なんの話してるんだろう」と不安になる 

 インフォーマットへのケアはやりすぎることは無い、とのこと。 

ちょっとしたことでラポールがガラガラと崩れていってしまうので、重々に気配りが大切。




 ■参加してどうだったか? 

 中級者をターゲットにしたとても実務的な講座だったので、自分の課題や・他の方のインタビューを見たり聞いたりしながら気づく事も多く、収穫のある講座でした。 

次回ユーザーインタビューやユーザビリティテストを行う際には、今回の講座での気づきが反映されて質の高い調査に出来ると思う。それに伴って分析や報告書の質も上がり、ソリューション提案にスムーズに紐付いてくるはず。 

ユーザー調査で一番課題だと思っていたことは、ユーザーが「Why? なぜその行動をとっているか」「What? どうしてそのような判断をしたのか」に関して、深く踏み込むことがなかなかできなかったことです。 

それはなぜか? 

1)どこが深く踏み込むポイントなのか? と、どこまで深く踏み込むのか? に関して、意識が甘かったのだと気づきます。 

1)に関してはインタビューをこなすことを優先して、インフォーマットの感情の動きや表情に関して気が回らず、深堀した方が良いきっかけを見逃していたのかもしれない。 

2)に関しては、インフォーマットへの問いが浅かった。浅い問いで話を終えてしまうこともあったのだと思います。 今回のセミナーで得た大きなポイントは、インタビューガイドの作り方で1)はかなり改善できると思った点でした。 

例えば、インタビューガイドのちょっとした工夫。一番聞きたいことはなんなのか?(ゴール)を項目で目立つように(例えば太字にしておくとか)表記しておくだけでも、自分の意識が違いました。問いを立てる時に、「ゴール」を意識するだけで、アウトプットは変わってきます。 

ちょっとしたことの積み重ねで、クオリティは格段に上がる! と奥泉さんが言っていたことがとても印象的でした。 


2)に関しては、人の認知特性を知ることで、「問い」のクオリティが上がり、ある水準にまではたどり着けると思いました。 目の前にいる人の発話を素直に受け取るのではなく、インフォーマットの反応やかすかな体の動きを見つつ「問いを立てながら仮説を検証」していくマルチタスクが必要になりますが、、。さらにクオリティをあげようと思うと、そこから先はヒューマンスキル。

諦めず地道にスキルアップしていく事事が何よりの近道だと思います。 




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