2017年9月15日(金) 大阪府産業デザインセンターが主催する大阪府デザイン・オープン・カレッジに参加してきました
“非デザイナーにも役立つデザイン思考「創造的問題解決の基礎スキルを学ぶ!"と題して
株式会社biotope 代表取締役社長 佐宗 邦威 氏によるワークショップ形式の講座でした。
セミナー全体の構成
今回はデザイン思考の共感と創造部分にフォーカスしてワークが組まれていました。
アイディアは発想を創造するには新しい切り口を出すことがポイントになります
そのためには
- 主観的な好き嫌い←特にこれがポイントかも
- 自分と違う視点を取り込めるか(yes and...と同意を込めれるか)
- アイディアを形にするマインド
などなど、平均的なユーザー調査などの客観的なデータではなく主観・感性を刺激するような切り口を出す。
そして、そのような切り口で考えるのには、かなり再現可能性の高い方法論があると佐宗さんはデザインスクールで実感されたそうです。
21世紀は感性の時代
講義の中で取り上げていた、ハイコンセプト。21世紀は、「答えのない時代」。コンセプチュアル社会として個人が突出する時代になる。
そんな中で、データをとって分析してもダメなことが多く、主観的に発信し、共感を生む部分を尖らせていく、とにかく小さくても行動に移していくことで気づきを得る、わかる、ことを繰り返していくことが大事だと語っていました。(議論する暇があるならばつくってみる!)
なので、「息づいた人を見る」「効率とは真逆をいく」「ビジュアルシンキング(無意識を表面に出す)」などが、強力なポイントとしてあげていました。
今回のワークも右脳的な頭の使い方を引き出すようなワークが多く、デザイナーである自分としてはやりやすい、馴染みのある作業なのですが,非デザイナーである人からすれば
新鮮で、かつビジュアルで外化することが難しいことなのだと気付かされました。
アイスブレイクとしてのビジュアルシンキングのワーク
アイスブレイクとしてのワーク。
簡単なワードを提示され、それをイラストで描いていきました。たとえば「人」「お金」「戦略」など。このワークによって、
- 人によって、イメージしている対象が違うこと
- 形のない概念を表現するときに、大きな描き方の差がでる
のは面白かったし、このワークをしていたことで「気づき」と「他者との違いの受容」を通過できたと思いました。
ビジョンドリブンとイシュードリブンの間を行き来するインタビュー
アイディア発想をする前にインタビューを実施。
ここは「共感」や「課題」を見つけるための材料探しです。
願望の分解
ここでのインタビューは、自分が普段接しているメディアを4つ持ち寄り、それをどのくらい利用して・なんの目的で選んでいるのか。それらに足りないところはどういったところか?などを前半できき、後半では理想のメディアって何か?をイメージ(らくがき)で表現する。ということをやりました。
これは「願望の分解」が目的であり、前半=イシュー(課題)を見つけたい、後半=ビジョン(ウォンツ)を見つけたい。といった目的分けがされていました。
「絵」は無意識が現れる
そして、何か新しいことを創造していくとき、こうなったらいいのに!といった感性的な部分を引き出していくことがポイントであり、これらをイラストにしたり、雑誌を切りはりしてコラージュにしたりと、無意識を引き出して可視化し、広げていくことを重視されていました。
新しい時計を作るとなれば、たとえばいろんな時計のイメージを100枚並べて比較したり、対話したりすることで無意識を引き出すなどもするとのこと。
人はそこまで深く考えて行動しているわけではありません。
だから「無意識的」に慣れや習慣・環境などから行動している場合も多く、それを言葉で語るのはとても難しいのです。
インタビューでの発話をポストイットに書き出してグルーピングしますが、
ここではイシュードリブンと、ビジョンドリブンの領域に分けて比較していきました。
イシューやビジョンどちらからも、インサイトの種となるような未充足なニーズ部分などが見えやすくなったように感じます。イシューやビジョンの裏返しを考えてみる、お互いに比較して繋がるワードが見つかる、などです。
前回HumanFaqで実施したインタビューでも、「比較」することと「個人の嗜好が浮き彫りになる」ことを意識すると、切り口がわかりやすく表現できる実感がありました。
アウトプットを可視化する効果は絶大で、その切り口が目的に対して明確に明示されていることもとても大事だと思いました(これ、今なんの為にやっているの?ともやもやしながらワークに入ると不安になるけど、ニーズとウォンツを比較するためか、とわかっていたら納得しやすい)。
再定義する為の要素分解
次は「要素分解」のワークに移りました。
テーマが「新しい新聞を考える」。その前に、そもそも新聞とはどんなものか?を分解して捉え直すし、新たに再定義することを促していきました。
可視化のフレームが印象的で。円を二つ描き、真ん中には今定義されている新聞が。
その周りに、新聞を構成している要素を散りばめています。
その次に、青いポストイットで定義を再定義していくフレーズをちりばめています。
たとえば、新聞には広告がある>>広告しかない新聞・広告が無い新聞などなど、反転させて考えます。定義と再定義を可視化して、沢山埋め尽くされると達成感もありますね。
ここで大事なのは質より、とにかく量!どんな小さなことでも外化し、手を動かしながら考えることで、同時に無意識を引き出しながら創造的なフロー状態に没入していく感覚はありました。
作業を通して、「作り出す」「イメージを膨らまず」「再定義によって柔軟に考える」ことを身体的な体験として入り込みやすくなっていました。
制限時間が来たので、一旦ポストイットを出し終わったところで
先ほどのインタビューの発話と並べて比較します。
・インタビューで出した、メディアに対するイシューとビジョン
・新聞の定義と再定義
この二つの要素をくっつけたり、反転させたりしながらアイディアを出していきます。
アイディアシートには、ターゲットは誰か ユーザーの価値は何か。と ユーザのビジョンやニーズを意識する項目が設けられていました。そしてイラストで表現すること。
まずは5分の個人ワーク。かなり短い時間で集中してアウトプットします。
そこからお互いのアイディアを話し合い、他人のアイディアからさらに広げたり、ジャンプさせることを意識していきます
まっさらな状態からアイディアを捻り出すのはとても難しいのですが
上記の様に、いくつかの要素を組み合わせて強制的に広げることができました。
アナロジーでみる、とは 見立てを作る
見えないものを想像する力。としてアナロジー思考の大切さを伝えておられて
例えば、ファブリーズのアナロジーは「朝霧のような」
すっきりとした、爽やかだ、清々しく新しい感じがする、といったメタファーを
朝霧のようなといったアナロジーで見立てた、ということ
このような切り口で表現をすることで、商品であればアプローチはかなり変わってきます。
デザインの現場でも、デザインアプローチ、コンセプトメイクは個人的に必ず行うようにしていました。
どんな切り口で、一貫性を持って伝えていこうか?と考えた時、拠り所になる軸があるのとないのとでは、やっぱりアウトプットの細部で違ってくるなぁと感じているます
そして、細部というのが最後の方に伝え方に効いてきたりするので侮れない、、(プロトタイプに関しても、装飾としての細部ではなくて、アプローチとしての細部が効いてきたりするんだろうかなとか)
でも、「アナロジー」をスッとだそうと思ってもなかなか思いつかない、、これには訓練が必要な力です
コンセプトを伝える広告を作る(メタファー)
アイディアを一つ選んだら、それをメタファーを使って表現します。
商品を売り込む広告を作って寸劇をし、直感的に共感を得られるか評価をしていく為のもので、最後は寸劇(ストーリーテリング)までもワークでやる予定でしたが時間切れで今回は座学だけでした…
他のテーブル席も回ってみると、いろんなやり方が生まれていて面白いですね。
ポストイットの散らかり様も違う。
この段階では発想を促し創造的なアイディアの種を見つける為なので、とにかくどんなアイディアでも形にしてみる
ただ、形にしてみる前提で取り掛かるのもとても大事で
アイディアの大喜利にならないようにするのはポイントかなぁと思います
ビジュアル化して、イメージが膨らむと、直感的にいいな!と思うアイディアがいくつか出てきます。いいな!といった感覚、何処がどういいのか?など論理的なことよりも、
ピン!とくる感じが部屋全体に伝わります
そのアイディアを磨ければまた違ったアイディアになりそうだなぁと感じました。
どう磨くか?どの切り口を立たせるか?でもかなりアウトプットは変わるので、評価されたアイディアをいくつもスタディする(デザインだったらスタディとゆう検証フェーズを通る)ことで様変わりすると感じました。
全体を通して
創造的なアイディアを産み出す、課題解決のためのリフレーミングは、フレームワークを活かしたり・場を作ったり・人との掛け合わせなどなど、いろいろな準備や要素の組み合わせは必要なものの
かなり再現性があるんだなという実感がありました。
短い時間で沢山のワークを体験できたこと、ワークの目的とゴールがはっきりしていたこともとても満足度が高かったです
強制的に考えを飛ばしたり、裏返したりを繰り返すと、思ってもいなかったアイディアがインタラクティブに変化して行くライブ感を味わいました。
ただ、ここでキモなのが、、これらのアイディアを具体化するために整合性をどう取ればいいか。
ビジネスやマーケティングスキルの引き出しがなければ、落とし所を見つけるのには苦労しそう、、だからこそ、デザイナーやマーケターや起業家が一緒になって創造すれば、、!ということなのだろうと実感しました。
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